あゆみ(1996~2004年度)

平成7(1995)年度
「災害時における情報通信のあり方に関する調査研究」
 合同部会での調査研究は、ほぼ月2回のペースで続けられ、会員の総力をあげた活動を展開した。その成果は、平成7年5月、「災害時における情報通信のあり 方に関する調査研究」として取りまとめ、「情報団の創設」、「安否情報システムの確立」、「行政とマスメディア等との連携」、「地域防災拠点の情報力の強化」、「マルチメディアによる震災情報の記録」の5つの緊急提言を行った。
 
(1)「災害時における情報通信のあり方」シンポジウム
7月27日に開催した7年度総会に引き続き、昨年度からの調査研究の成果を協議会会員はもとより、広く県内外の人々とともに共有するため、「災害時における情報通信のあり方」シンポジウムを開催した。
このシンポジウムには、防災分野の専門家である廣井脩東京大学社会情報研究所教授や井野盛夫静岡県防災局長のほか、震災時に情報ボランティアとして活動した作山喜秋氏、畠中千晴氏、サンテレビ報道デスクの門前喜康氏、コープこうべの永田美穂氏の出席を得た。
また、協議会からは小西康生(神戸大学)、光森史孝(神戸新聞)、吉岡啓次(住友電工)、幸長敏尚(NTT)、木村義秀(神戸市)、長瀬洋英(兵庫県) ら、学識経験者、情報通信関係企業、ボランティア、行政などさまざまな視点から災害時における情報通信のあり方について熱心な討議を行った。
このシンポジウムには県内外から600名を超える参加者があり、協議会の活動に大きな注目が集められた。
 
(2)ケーブルテレビ・インターコネクト
阪神地域や明石の各ケーブルテレビ局も震災で大きな被害を受けたながら、マスメディアでは伝えきれないきめ細かな生活情報を提供した。地域に密着したメ ディアとしてのケーブルテレビの重要性があらためて認識されたが、その一方で、ケーブルテレビの整備・運営についての課題が明らかになった。
ケーブルテレビはどのような被害を受け、どのような活動を行ったのか。これから何が必要なのか。上記シンポジウムの翌日の7月28日、ケーブルテレビ専門 部会の主催により、「ケーブルテレビセッション/震災地のケーブルテレビは~現地からの報告」を開催し、営業、技術、経営の3つのテーマで、県下のケーブ ルテレビ局と全国から約100名の参加者を交えて熱い討論が展開された。
このセッションでの議論を踏まえて、光森部会長、畠山副部会長が中心と なって、ケーブルテレビ局を相互に接続し、ハード・ソフト両面での広域連携を図る「ケーブルテレビ・インターコネクト」と地域住民にケーブルテレビの利用 を開放する「パブリック・アクセス・チャンネル」の2つの試案を発表した(月刊「ニューメディア」平成7年10月号)。
特に、「ケーブルテレビ・インターコネクト」は、ケーブルテレビの連携をめざして、平成3年度に検討した「瀬戸内サーフネット構想」などこれまでの部会活動の成果を集大成したものであり、県域のケーブルテレビの新たな展開に重要な意義を担うものとなった。
 
(3)提言の具体化
「災害時における情報通信のあり方」の調査研究は、マスメディアや多数の論文にも紹介され、大きな反響を呼んだ。協議会では、さらに具体的な施策の導入につないでいくため、9月から引き続き調査研究を進めることとした。
「安否情報システム」、「行政とマスメディア等との連携」、「避難所等の情報化」については、各部会の共同研究会(座長:小西康生、副座長:井内善臣、光森史孝、高橋宣光(サンテレビジョン)、幸長敏尚、吉岡啓次)の各氏で行った。
また、「情報団の創設」や「地域の情報発信」についてはケーブルテレビ専門部会、「マルチメディアによる震災情報」について映像メディア専門部会とそれぞれ分担し、多数の会員の自発的な参画により検討作業を進めた。
 
(4)「情報の空白を埋める」
最終の調査報告は、「情報の空白を埋める~災害時の情報通信のあり方報告書」として取りまとめた。
その中で、①住民が平常時から自主的に情報の収集・伝達を行う組織としての「情報団」の創設、②学校や公民館など地域の情報の受発信を行う拠点としての役 割を担う「コミュニティ情報拠点」の整備、③行政・メディア・ライフライン企業の連携を図る「共同デスク」の創設、④被災者の安否情報を提供する「安否情 報システム」の整備、⑤震災情報の記録・保管・提供のための「震災映像デジタル・アーカイブ」の構築の5つの提言を明らかにした。
震災から1年 あまりの活動は、会員それぞれが互いに経験・ノウハウ・知恵を出し合い、力を結集して検討を進めたものであり、協議会のこれまでの歴史のなかでも特筆すべ きものとなった。また、同時に災害時の情報通信のあり方を明らかにしたことは、被災地の情報化推進団体としての責務を果たしただけでなく、各地域の情報化 を推進していく上でも極めて重要な貢献を行った。
 
平成8(1996)年度
提言の一層の具体化を
 平成7年3月から1年あまりにわたって進めてきた「災害時における情報通信のあり方」の調査研究の最終報告の内容は、6月24日の総会に引き続き開催した第2弾の「災害時における情報通信のあり方」シンポジウムで発表した。
このシンポジウムでは、小西康生教授のコーディネートのもと、「情報団」(光森史孝)、「コミュニティ情報拠点」(吉岡啓次)、「共同デスク」(高橋宣 光)、「安否情報システム」(幸長敏尚)、「震災映像デジタルアーカイブ」(井内善臣)の各氏より5つの提言が報告された。
また、広く県内外の関係機関、市民に広く公表するため、最終報告「情報の空白を埋める」を神戸新聞総合出版センターより出版した。
 
(1)専門部会活動
災害時の情報通信のあり方についての共同研究会は、8年度末まで開催し、県のフェニックス防災システムや洲本市におけるボランティア情報団の取り組みなど、震災以降の県下の情報化の事例研究を行った。
また、ケーブルテレビ専門部会ではケーブルテレビ・インターネットやインターコネクト構想について、映像メディア専門部会では映像アーカイブや著作権問題などについて、それぞれ調査研究を行った。
 
(2)災害時の経験を平常時に
「災害時の情報通信のあり方」という調査研究を終えて、大きな達成感とともに次の目標を探るまでの「虚脱状態」がしばらく続いたが、平成9年1月24日、 尼崎リサーチ・インキュベーションセンターで実施した「災害情報フォーラム」は、災害時から再び平常時の地域情報化に活動の焦点を移行する転換点となっ た。
このフォーラムは、震災からの2周年記念事業として、兵庫県、高度情報化推進協議会との共催により開催したものであり、林春男氏(京都大学 防災研究所)から「防災システムの広域連携」について、金沢寛太郎氏(広島市立大学)から「地域とメディアー平常時・災害時」について、水野義之氏(ワー ルドNGOネットワーク代表(大阪大学))から「情報ボランティア」について、それぞれ講演をいただいた後、「ネットワーク時代におけるコミュニティ」を テーマに、赤沢保守氏(洲本市)、河田恵氏(京都大学防災研究所)を交えてパネルディスカッションを行った。
パネルディスカッションでは、災害時においても情報通信の機能が発揮し得る基盤となる市民の視点からの新しいコミュニティのあり方が議論され、次年度以降の協議会の活動の重要なテーマとして引き継がれていく。
 
(3)提言をかたちに
「災害時における情報通信のあり方」で提言したケーブルテレビの相互接続は、兵庫県から郵政省に要望を行った結果、平成8年度補正予算で通信・放送機構の 広域的な通信・放送統合網の研究開発事業として12億6千万円が措置され、チャンネルウェーブあまがさき、ケーブルビジョン西宮、こうべケーブルテレビの 3局を光ファイバで結び、平成12年度末まで研究開発が行われることとなった。
震災映像アーカイブについては、通産省の委託事業で(財)阪神・淡路産業復興推進機構が実施した震災地区産業高度化システム開発実証事業の一つに採択され、平成8年8月から10年1月までシステムの開発実証が行われた。
また、「情報団」については、洲本市や五色町が防災システムの整備とあわせて地域住民から構成される「ボランティア情報団」が設置された。
 
平成9(1997)年度
コミュニティの情報化・市民との協働
 震災3周年を経過し、これまでの復旧から本格的な復興に取り組む時期を迎えた。兵庫県では全県的な情報化の指針として「ひょうご情報社会創生計画」を策定し、インターネットやケーブルテレビの先導的な活用を通じて、豊かな情報社会の創造をめざした取り組みが始まった。
ケーブルテレビの相互接続やコミュニティの情報化など震災以降の協議会の活動成果はこの計画に積極的に取り入れられた。また、協議会としても、新たな県域 の情報化をめざして、行政の情報化や学校の情報化の調査研究や市民活動団体との協働による情報化の普及啓発事業に取り組んだ。
 
(1)専門部会活動
地域情報化策専門部会では、行政の情報化と西播磨地域の情報化の2つのテーマの分科会を設置した。行政の情報化分科会(力宗幸男(神戸商科大学))では、 行政サービスの向上をめざした情報化の推進方策を検討するため、県内市町を対象とした情報化の実態調査や協議会会員を対象とした行政の情報化への意見・要 望についてのアンケート調査を行った。
また、西播磨地域分科会(山本誠次郎(社会システム研究所))では、マルチメディアスクールの取り組みと並行して、西播磨地域の市町、商工団体とともに、情報化の現状や課題について意見交換を進めた。
 
(2)全国マルチメディア祭’97inひょうご
震災から3周年を迎える平成9年11月に郵政省、兵庫県、神戸市、姫路市、明石市、西宮市、洲本市、芦屋市、伊丹市、加古川市、滝野町、(財)電気通信高度化協会とともに実行委員会を組織し、「全国マルチメディア祭’97inひょうご」を開催した。
兵庫県での開催は平成4年度に引き続き2回目であり、今回は「創造的復興から21世紀の高度情報通信社会へ」をテーマに、神戸市内で開催した地域情報化サ ミットでは、防災システム、情報ボランティア、産業復興、地域メディアなどさまざまな視点からの問題提起を踏まえ、貝原俊民兵庫県知事、清原慶子ルーテル 学院大学教授、月尾嘉男東京大学教授、光森史孝神戸新聞社メディア開発局総務の各氏によるパネルディスカッションが行われた。
また、伊丹市、明石市、姫路市、洲本市、滝野町の各会場では、情報ボランティアやケーブルテレビなど具体的なテーマに基づいた地域情報化フォーラムが展開された。
これらの記録はCD-ROMとして作成し、県内市町など関係機関に送付したほか、震災以降、県下で組んでいる具体的な情報化の事例をまとめた「震災復興と地域情報化」(ニューメディア社)を発行するなど、広く県内外に情報発信した。
 
(3)はりまマルチメディアスクール
播磨科学公園都市のまちびらきイベントの一環として、8月から10月にかけて兵庫県、兵庫県企業庁、兵庫B-ISDN実験協議会、はりまインターネット研究会等の関係団体と共同して「はりまマルチメディアスクール」を実施した。
この事業は、インターネットや広帯域ISDNなどのネットワークを誰もが身近なものとして体験し、情報通信の理解を深め、地域や生活のなかで有効に生かしていくことをねらいとした情報化イベントである。
イ ベントでは、親と子、社会人、経営者、教師などさまざまな利用者向けにインターネット・セミナーを開催した。なかでも、西播磨地域の小学校約40校の参加 を得て実施した「はりまこども風土記~わんぱくちびっこ情報団」は、こどもたちがデジタルカメラで取材・撮影した地域の魅力ある情報をインターネットで発 信し、楽しみながらネットワークの意義を体験してもらうことができた。
このイベントの企画段階からホームページの作成や英訳など運営・実施面 で、はりまインターネット研究会(事務局長:和崎宏氏)を中心に多数の研究会会員や情報ボランティアの協力を得ることができ、西播磨地域の産・官・学・民 のヒューマンネットワークづくりやその後のネットデイの実施など学校の情報化の推進に大きな成果を生み、新しい情報化の推進のモデルを提示することができ た。
なお、このイベントの内容はCD-ROMとしても作成し、県下の学校へ配布した。
 
(4)コミュニティの情報化
震 災3周年記念事業として、兵庫県との共催により、3月27日に「コミュニティと情報化」をテーマに情報通信セミナーを開催した。このセミナーでは、震災以 降、市民が社会の一員として地域づくりに積極的に参加しようという非営利活動組織(NPO)の高まりを踏まえて、今後、どのようなコミュニティを実現して いくべきか、また、そのための手段として情報通信をどのように活用していくべきかを主眼に、「災害時」から「平常時」の情報通信のあり方について議論を進 めようとしたものである。
セミナーでは、阪神・淡路コミュニティ基金の今田忠代表から「市民活動と新しいコミュニティ」をテーマにNPO(非営 利活動組織)の役割について基調講演があり、神戸まちづくり協議会連絡会の中島克元事務局長、氷上郡教育委員会の岸田隆博指導  主事、明石ケーブルテレ ビの木村義一編集制作部長、デジタルマジック社の日下千代子専務、藤沢市情報統計課の須藤俊明課長補佐の各氏から、情報通信によるコミュニティづくりにつ いて貴重な報告をいただいた。
 
平成10(1998)年度
学校の情報化から地域の情報化へ
 前年度の活動の成果を踏まえて、10年度の活動方針の一つに「NPOとの交流・連携の強化」を取り上げ、新たな情報化の担い手となる市民やNPOの取り組みとの連携や支援を行ったほか、地域と学校のつながりを深めるための学校の情報化の推進方策について提言を行った。
 
(1)地域に開かれた学校をめざして
文部省では、平成13年度までにすべての学校にインターネットの接続を行い、「総合的学習の時間」や教科「情報」の創設など新たな学習指導要領への移行を 進めつつある。各地域においても、学校の情報化の機運は高まっているが、一方で教員の情報リテラシーの向上や情報利用環境の整備の遅れなどさまざまな課題 を抱えている。
このため、地域情報化策専門部会のなかに新たに学校の情報化分科会(座長:山本誠次郎(京都産業大学))を設置し、地域に開かれた学校をめざした情報化の推進方策の調査研究を行った。
学校の情報化は、学校とPTA、住民、企業、大学、行政が連携して取り組む必要があること、さらに、震災の教訓を踏まえて学校が地域に開かれた情報拠点の 役割を担うべきであるという問題意識のもと、県下の500の学校及び全市町教育委員会にアンケート調査を実施した。この調査により、現場の課題を明らかに するとともに、学校の情報化について広く理解を得るための普及啓発や教員への研修機会の拡充、情報利用環境の整備、さらに地域が一体となって学校の情報化 を支援するネットデイの推進などさまざまな提言を行った。この調査研究報告書は県内のすべての自治体や学校など関係機関に提供した。
また、3月 には兵庫県との共催で「学校をネットワークする~新しい教育の創生と地域に開かれた学校」をテーマに「第3回ひょうご情報社会セミナー」を姫路市で開催し た。このセミナーでは、赤堀侃司東京工業大学教授から「これからの情報教育とネットワーク社会」について基調講演をいただいた後、山本分科会座長をコー ディネータに、松本正樹氏(福崎町立福崎小学校教諭)、木南芳典氏(姫路市立教育研究所指導主事)、高木洋子氏(テレクラス・インターナショナル・ジャパ ン代表)、釘田寿一氏(フリーライター・ネットワークサポートセンターinかんさい)の各氏によるパネルディスカッションを行った。セミナーには約150 名の参加者があり、会場からの意見も交えて、熱気あふれる意見交換が行われた。
 
(2)NPOとの交流・連携
震災以降、神戸、明石、姫路、赤穂、三田、洲本など各地域で市民の立場から地域の情報化を進める市民活動団体が相次いで設立され、インターネットを活用した地域情報の発信やセミナーの開催、学校の情報化を支援するネットデイなどの取り組みが活発に進められている。
協議会では、これまでの産・官・学に加えて、新しい情報化の担い手である市民活動との連携を通じて、より地域に根ざした情報化を推進するため、情報ボラン ティアのシンポジウムやチャレジド・ジャパン・フォーラムの開催、氷上郡や神戸・伊丹・赤穂でのネットデイなどNPOの活動に対して協力、協賛するなど積 極的な支援を行った。
 
(3)行政の情報化~ワンストップサービスをめざして
前年度の情報化の実態調査を踏まえて、10年度の行 政の情報化分科会(座長:力宗幸男(神戸商科大学))では、自宅や職場からでもネットワークを介してさまざまな行政手続きが可能となる電子申請やワンス トップサービスの実現をめざして、先進的な取り組みを進めている団体での事例調査を踏まえて、本人認証などのセキュリティ、公文書の原本性の確保など今後 の行政の情報化の課題を明らかにした。
 
(4)ケーブルテレビからネットワークへ
ケーブルテレビ・インターネットの本格的な普及 を迎えて、県下のケーブルテレビ局も従来の放送サービスに加えて、通信サービスの事業化の機運が高まりつつある。こうした流れを背景に、これまでケーブル テレビの普及や高度化について調査研究を行ってきたケーブルテレビ専門部会を新たにネットワーク専門部会(部会長:畠山乃生彦(アイテック阪神))に改組 し、通信と放送の統合化に対応した調査研究を進めることとした。
また、映像メディア専門部会を廃止し、新たに情報産業専門部会(部会長:井内善臣(神戸商科大学)、副部会長:桂川幸治(阪神・淡路産業復興推進機構))を設置し、ネットワークビジネスやコンテンツビジネスなど情報産業の振興について調査研究を行った。
 
平成11(1999)年度
産・官・学・民によるさらなる情報化を
  11年度は、協議会設立15周年という記念すべき年に当たる。200団体を超える会員を擁するに至った協議会の発足時から長らく代表幹事として活動を支え てきた中野忠幸氏が勇退され、新たに光森史孝氏が代表幹事に就任した。また、10月には牧冬彦氏から第3代会長に大庭浩神戸商工会議所会頭が選任された。
こうした新たな体制のもと、地域情報化策専門部会では、今後の情報化の重要な課題である行政の情報化分科会を引き続き設置したほか、前年度の学校の情報化 の分科会の活動を一層本格化をするため、新たに学校情報化専門部会(部会長:山本誠次郎(京都産業大学)、副部会長:上谷良一(兵庫県立教育研修所))を 設置した。また、ネットワーク専門部会においても、引き続き、県域のネットワークの高度化をめざして調査研究に取り組んでいる。
15周年を契機に、新たな情報化の担い手となる民も加えた産・官・学・民による県域の情報化の一層の推進をめざした取り組みが求められている。
 
平成12(2000)年度
市民活動・行政でのITの活用
  新年へのカウントダウンとともに固唾をのみながらコンピュータ2000年問題への対応で始まった1年であり、わが国の情報化の新たな展開に向けたスタ-ト の年ともなった。11月にいわゆるIT基本法が成立し、ITというキーワードが初めて登場し、13年1月には、5年以内に世界最先端のIT国家となること を目標とする「e-Japan戦略」が策定された。兵庫県でも翌2月に、「ひょうごIT戦略」を策定、兵庫情報ハイウェイなどのプロジェクトが推進される こととなった。
総会記念講演会では、ソニー株式会社関西代表・常勤顧問の金田嘉行氏から、「ITの進展と創造的な競争社会」をテーマに、これか らの情報技術と地域社会のあり方について講演していただいた。また、ITの普及の進展や各地域での市民による情報化推進団体の設立の動きを踏まえ、市民活 動へのITの活用や自治体の情報化、新たな展開に向けたケーブルテレビなどをテーマにセミナーを開催した。
専門部会活動については新たな技術動向をより深く研究しようという会員と幅広い知識を身につけたいとする会員とに2極化してきたことから、従来の専門部会は一時休止し、会員自らがグループを組んで行う自主研究グループ活動を支援することとした。
 
(1)市民活動のための情報ネットづくりフォーラム
インターネットを活用した地域情報の発信やネットデイなど、さまざまな活動を展開している市民の自発的参加による情報化推進団体が集まり、それぞれの活動の輪を広げるため、各団体の活動報告と意見交換を行った。
 
(2)ひょうごケーブルテレビ10周年記念シンポジウム
平成2年に滝野町、芦屋市で開局して以来10年の歴史を重ねてきたケーブルテレビの今後の発展方向を展望するため、10周年記念シンポジウムを開催した。
 
(3)自治体のIT活用戦略セミナー
電子政府の動向や自治体における先進的な電子行政の事例を通じて、新しい行政システムとしての電子行政について理解を深めるため、「自治体のIT活用戦略」をテーマにセミナーを開催した。
 
平成13(2001)年度
真のIT革命をめざして
  13年度は、政府の「e-Japan戦略」、兵庫県の「ひょうごIT戦略」がスタートした年である。IT革命が産業革命にも匹敵するような社会的な広がり を持つためには、企業や自治体が地域の活性化について明確なビジョンをたて、そのための手段としてITの活用を進めていかなければならない。こうした問題 意識にたち、当協議会をはじめ、県内の情報化関連の6団体が共同して、知事、神戸市長などの参加を得て、「真のIT革命への提言 兵庫大集会」を開催し た。
総会では、IT革命が地域のあり方にどのようなインパクトを与えていくのかについて理解を深めるため、「ITを活用した地域の活性化」をテーマに、多摩大学・大学院教授の井上伸雄氏による総会記念講演会を開催した。
 
(1)緊急!真のIT革命への提言!!兵庫大集会
本協議会をはじめ、神戸マルチメディア・インターネット協議会、阪神・淡路マルチメディア産業交流会などの6団体で実行委員会を組織し、県内の有志が一同 に集まり、今後のIT革命の進むべき道について、自治体、企業、NPOが担うべき役割を提言するため、「緊急!真のIT革命への提言!!兵庫大集会」を開 催した。
 
(2)インターネットセミナー2001 inひょうごの開催
県民や企業、行政がインターネットの現状や今後の展望について理解を深め、インターネットの先進的な活用方策について学ぶため、「ブロードバンドが創る社会」をテーマに講演と情報関連機器の展示を行った。
 
(3)特別研究グループ活動の実施
国の「e-Japan戦略」や県の「ひょうごIT戦略」の策定を背景に、「県民生活の情報化」、地域産業の情報化」の具体的な方策を県や関係機関に提言するため、「特別研究グループ」を設置した。
 
平成14(2002)年度
ブロードバンドの普及と地域づくり
  14年度は、県域のネットワークインフラの整備が大きく進んだ。4月に兵庫情報ハイウェイの運用が始まり、電子県庁の推進基盤となる県庁WANや県立学校 を結ぶ教育情報ネットワークが構築された。また、インターネット・プロバイダにも回線を無償開放し、郡部への高速インターネットサービスの普及や、ラスト ワンマイルの整備を支援するブロードバンド100%整備プログラムが創設された。5月には県と市町による電子自治体推進協議会が設立され、電子申請など共 同運営システムの構築に向けた取り組みがスタートした。
こうしたITの急速な普及を踏まえて、総会では、ハイパーメディア・クリエーターの高城剛氏から、「ケータイ文明の曙」をテーマに講演いただいた。
なお、発足当初から副会長として協議会を支えて来られた米花稔神戸大学名誉教授が副会長を退かれることとなり、総会の場でこれまでのご尽力に対して感謝状を贈呈した。また、地域の情報化を積極的に推進する龍野市、篠山市に地域情報化功労表彰を贈った。
 
(1)政策提言研究グループ活動の実施
13年度の特別研究グループ活動を発展させ、企業、団体、行政等へのICT政策提言を目指し、会員自らが調査研究を実施する「政策提言研究グループ活動」を実施した。
 
(2)情報セキュリティ・電子認証の普及啓発
インターネットの普及によって、オンラインショッピングや電子商取引などの利用が広がる中、情報システムの「安全性と信頼性」の確保は、ますます重要な問 題となってきた。このため、電子商取引推進協議会(ECOM)と連携して、「セキュリティマネジメント実践セミナー」や「電子認証の法・技術」、「認証と その応用」をテーマにしたセミナーを開催した。
 
平成15(2003)年度
情報基盤の整備から活用へ
 政府は、「e-Japan戦略」が目標としていたブロードバンド利用環境の整備が目標を達成したことから、「e-Japan戦略Ⅱ」を策定し、ITの利活用を重視した戦略を推進することとした。
総会では、兵庫情報ハイウェイを活用した広域的な情報通信ネットワークを構築した阪神広域行政圏協議会、県下11のケーブルテレビ局が連携して、共同営業、番組づくりを行う兵庫ケーブルテレビアドネットワーク部会に地域情報化功労表彰を贈った。
 
(1)情報通信の多様な展開
ブロードバンド、ユビキタスなど、高度で多様なサービスを展開しつつある情報通信の最新動向についての理解を深めるため、地上波デジタル、サイバーリテラシー、無線ICタグ、情報セキュリティなど多彩なテーマでの情報通信セミナーを開催した。
 
(2)政策提言グループ活動の実施
企業、団体、行政等へのICTの活用について政策提言を目指し、会員自らが調査研究を行う政策提言グループ活動を実施した。14年10月に着手した3つの分科会での提言研究を、15年9月26日に各分科会から最終提言の報告を行った。
 
(3)「ひょうごICT塾」の開講
豊かさが実感できる暮らしの実現や地域経済の活性化、行政サービスの向上など、地域、企業、行政の各分野でのICTのさらなる活用が求められている。この ため、会員を対象にサービスの向上や業務の効率化などICTを活用するための企画力、発想力向上の習得をめざした「ひょうごICT塾」を開講した。
 
平成16(2004)年度
安全・安心な情報社会へ/震災10年・設立20周年
 16年度は、震災から10年、協議会設立から20周年という記念すべき年にあたる。このため、「安全・安心」をテーマに、震災後から今日までの情報化の取 り組みを検証するとともに、情報の安全の視点から情報セキュリティも含めた「危機管理の情報通信のあり方」に関する調査研究を実施した。
総会につ いては、インターネットを活用した表決を行う電子総会を試行的に実施した。大庭会長の死去に伴い、新たに太田敏郎神戸商工会議所会頭代行、その後水越浩士 同会頭を会長に、副会長には小西康生神戸大学教授を選任した。また、設立当初から協議会の活動に参加され、平成11年度からは代表幹事として協議会の運営 に尽力された光森史孝氏が勇退され、新たに山本誠次郎氏が代表幹事に就任された。
なお、協議会活動の活性化を図るため、組織活性化委員会を設置し、活動のあり方についての見直しの検討を進めた。
 
(1)危機管理における情報通信のあり方に関する調査研究
阪神・淡路大震災直後に取り組んだ「災害時の情報通信のあり方に関する調査研究」の成果を検証するとともに、ブロードバンドの急速な普及に伴って社会的な 課題となっている情報セキュリティ対策など、「安全・安心な情報社会」の実現をめざした情報化のあり方を明らかにするため、「危機管理の情報通信のあり方 に関する調査研究」を実施した。
 
(2)地上デジタル放送の開始
16年12月からの県域放送局における地上デジタル放送の開始を控えて、11月に「ひょうごデジタル新時代」シンポジウムの開催と開局記念イベントを実施した。
 
(3)情報通信セミナーの開催
「全国情報セキュリティ啓発キャラバン」(主催:経済産業省等)を誘致し、インターネットを安全快適に活用するための情報セキュリティの基礎知識などを身につける「インターネット安全教室」を開催し、県民150名の参加を得た。
 
(4)ひょうご情報コミュニティ・キックオフミーティングの開催
阪神淡路大震災を契機に生まれたNPOやボランティア活動の機運の高まりに対応し、県民一人ひとりがITのメリットを享受できる情報コミュニティの実現を めざして、NPO等が取り組んでいる先進的な実践例をもとに、県民、地域メディア、行政などさまざまな視点から、コミュニティの情報化について意見交換を 行うシンポジウムを開催した。
 
(注)会員氏名は敬称略。所属は当時の所属